CHOMPOOシェフ・料理家森枝 幹
東京・渋谷PARCO(パルコ)でタイ料理店「CHOMPOO(チョンプー)」のシェフとして腕をふるっている森枝幹(もりえだ・かん)さん。店では見た目にも美しく、味わいが奥深い独自のタイ料理を提供しています。そんな森枝シェフが夏のデザートにぴったりな「紅茶」を使ったレシピを教えてくれました。紅茶も茶葉を発酵させてつくるもの。味の濃い料理の後にもすっきりと美味しいデザートをお楽しみください。
料理:森枝幹 / 構成:森綾 / 写真:木村文平
紅茶はお茶の葉を摘んで、乾燥させ、揉んだものを発酵させた発酵食品です。茶葉の酸化反応を進ませることで、紅茶独特の風味と赤褐色を生み出すという、発酵は紅茶をつくる上で重要な工程です。
今回は、紅茶を濃く煮出したものに、牛乳やコンデンスミルク(加糖練乳)、エバミルク(無糖練乳)を加えて「紅茶のパンナコッタ」をつくりました。
パンナコッタはゼラチンで固めるのですが、ゼラチンはだいたい、液体の2%の量が目安です。今回は板ゼラチンを使っていますが、粉ゼラチンでも構いません。ただ、やや弾力のある仕上がりになる粉ゼラチンはほんの少し量を控えめにしてもいいかもしれません。柔らかい舌触りを求める場合は1.5%くらいでもいいでしょう。特に前日から作って冷やしておく場合は、それでも十分です。
パンナコッタはコンデンスミルクの甘みだけで仕上げているので、もう少し甘さが欲しい場合は食べる時にもコンデンスミルクをかけるとちょうど良い感じ。エバミルクがないときは、パントリークリーム(コーヒーなどに入れるクリーム)を代用してもいいかもしれません。濃い味の料理の後に、口溶けのなめらかなデザートがあると、ホッとすると思います。
タイの人たちは紅茶をよく飲みます。食堂や屋台などで売っている甘いタイティーは、スパイスを入れて飲んだりもします。ちょっと前に中国でもクラフトティーが流行しました。タピオカ入りミルクティーの後ですね。チーズミルクティーやフルーツティー、ジャスミンティーにレモンを入れたり、緑茶にレモンを入れたり。ライチティーも人気でした。
今回はそんなクラフトティートレンドの流れで「香港レモンティー」をつくりました。香港では紅茶にシロップとレモンをたっぷり入れた甘いレモンティーが広く親しまれています。レシピは2人分でつくりましたが、2倍、3倍量でつくって冷蔵庫に冷やしてあったら、暑い日に外から帰ってきた時に幸せですよね。タイ料理にはもちろん、中華料理や韓国料理にも合うと思います。
水・・・150ml
牛乳・・・100ml
エバミルク・・・100ml
コンデンスミルク・・・30ml
紅茶(セイロンティー)・・・8g
板ゼラチン・・・7g(全体の1.5〜2%の量)
水・・・400ml
レモン(ワックスがついている場合は表面を洗う)・・・1個
シロップ・・・約80ml(80gの砂糖を80mlの水で煮溶かし冷やしたもの。市販のものでもよい)
紅茶(アールグレイ)・・・8g
PROFILE
森枝幹(もりえだ・かん)
1986年生まれ。調理師専門学校を卒業後、オーストラリアへ留学。世界のベストレストランの常連「Tetsuya’s」(豪州・シドニー)で料理を学び、帰国後は京料理の「湖月」(東京・表参道)で修業。その後、マンダリン オリエンタル 東京(東京・日本橋)内の「タパス モラキュラーバー」で修業を積み、2011年に独立。東京・下北沢の「Salmon&Trout(サーモン・アンド・トラウト)」(現在閉店中)のシェフとなり人気を博した後、2019年に東京・渋谷PARCOにタイ料理店「CHOMPOO(チョンプー)」をオープン。ほかにフードマガジンの発行や、レストランプロデュース、イベント開催など、従来の料理人の枠にとらわれず活動を続ける。