エダ ジュン「豚汁やクリーム煮にも! うまみと辛味、甘味を活かしたコチュジャンレシピ」

はじめての発酵食レシピ Vol.12豚汁やクリーム煮にも! うまみと辛味、甘味を活かしたコチュジャンレシピ

料理研究家・管理栄養士エダ ジュン

アジアのさまざまな発酵調味料を日本人に合う程よさでアレンジする料理研究家・管理栄養士のエダ ジュンさん。今回は韓国の発酵調味料「コチュジャン」を使うけれど、韓国料理にこだわらない優しい味の家庭料理を教えていただきました。

文:エダ ジュン / 写真:木村文平

タイ、台湾と並び、年に一度は行きたい韓国

サムギョプサル、タッカンマリ、サムゲタン……。ちょっと前までは日本の家庭で作ることが珍しかった料理も、すっかりポピュラーになった感じがしますね。

僕も韓国料理は大好きです。タイ、台湾と並び、韓国にも年に一度は行こうと思っています。国内でも韓国料理店は増えましたが、やはり本場の味は一味も二味も違いますから。

毎日自分で料理を作っていると、自分の味に飽きてしまうんです(笑)。そういう時に刺激をもらうのはやっぱりアジアの料理なんですよね。いつから韓国料理に興味を持ったかを思い出していたのですが、僕は社会人になってからですね。ひょっとしたら韓流ドラマの「冬のソナタ」あたりからかも。

辛さも甘味もあるところがコチュジャンの魅力

辛い発酵調味料といえば、中国の豆板醤(とうばんじゃん)、韓国のコチュジャンですね。

コチュジャンは、唐辛子や豆を発酵させた辛い味噌。日本の味噌にも米や大豆、麦といろんな素材でいろんなつくり方があるように、さまざまな種類があるようです。特徴としては、辛さも甘味もあるところでしょうか。

いつも買っているのは、この韓国のブランドbibigo(ビビゴ)のもの。辛味が強く、甘さが程よいんです。しつこくない。日本製のものは、甘さがこってりねっとりしているものが多いようです。でも辛味が苦手な人には日本製もいいと思います。

bibigo(ビビゴ)のコチュジャン

コチュジャンは和食にもイタリアンにも合う

コチュジャンは韓国料理だけのものだと思っていませんか。それが意外にも、和食にも、洋食にも合うんですよ。醤油(しょうゆ)、味噌(みそ)、しょうがで味付けした肉じゃが風の煮ものにひとさじ加えると、体がポクポクあったまる、新鮮な味になります。日本の味噌ともなじみやすいので、味噌汁に入れてもいいですね。

今回は「コチュジャン豚汁」のレシピをご紹介します。肉を焼き付けると、あくが出にくいです。これからの季節にぴったり。肉のだしのほか、いりこのだしとも相性がいいですよ。

最近の韓国料理にはよくチーズを使うから、クリームも合うと思ったんです。なので「鶏肉ときのこのコチュジャンクリーム煮」もご提案。鶏肉の皮はぱりっと焼いて、しっかりうまみをコーティングするのが美味しさのコツです。

コチュジャンを、イタリアン風のトマトのマリネに混ぜても美味しいです。オリーブオイル、ビネガー、塩、胡椒をトマトと合わせたものにコチュジャンをプラスするだけ。トマトソースやケチャップと合わせてもいいし、マヨネーズとコチュジャンを合わせたソースもできます。

にんにく、唐辛子を合わせたペペロンチーノに卵黄を加え、そこにコチュジャンをひとさじ入れても美味しいスパゲティができます。

そのほか、コチュジャンはアボカドなどのコク深い味わいのフルーツとも相性抜群。「アボカドのコチュジャンナムル風」は簡単にできて、副菜やつまみとしても活躍します。

特定の調味料への思い込みを捨てて、そのうまみ、辛味、甘味という味から組み合わせを発想していきましょう。

発酵食RECIPE

コチュジャン豚汁

コチュジャン豚汁

▼材料(作りやすい分量)

豚バラ肉・・・100g

大根・・・長さ1cm(約50g)

にんじん・・・1/3本(約50g)

ごぼう・・・1/3本(約30g)

味噌・・・大さじ2

コチュジャン・・・小さじ2

だし汁・・・800ml

ごま油・・・小さじ2

小ねぎ・・・適量

コチュジャン豚汁の材料
▼作り方
  1. 豚バラ肉は薄切りのものを1cm幅に切る。大根、にんじんは厚さ5mmでいちょう切りにする。ごぼうは皮をこそげて薄い斜め切りにする。ごぼうは水を張ったボウルにさらして、あく抜きをしておく。
  2. 鍋にごま油をひき、豚肉、野菜類の順に入れて炒める。肉全体が白っぽくなったら、だし汁を入れて、4~5分ほど煮る。あくが出てきたら、その都度すくう。
  3. 2に味噌、コチュジャンを溶いて、1分ほど温めたら完成。器によそい小ねぎを散らす。
コチュジャン豚汁の作り方
鶏肉ときのこのコチュジャンクリーム煮

鶏肉ときのこの
コチュジャンクリーム煮

▼材料(2人分)

鶏もも肉 ・・・1枚(約250g)

しめじ・・・1パック(約100g)

にんにく(薄切り)・・・1片(約5g)

酒・・・大さじ2

コチュジャン・・・小さじ2

生クリーム(脂肪分35%のもの)・・・1カップ

オリーブオイル・・・大さじ1

パセリ・・・適量

〈肉の下味〉

塩・・・ひとつまみ

薄力粉・・・小さじ1

鶏肉ときのこのコチュジャンクリーム煮の材料
▼作り方
  1. 鶏肉は1枚を6等分に切り、塩、薄力粉の順に揉み込む。しめじは石づきを切り、ひと口大に手でほぐしておく。
  2. フライパンにオリーブオイルをひき、弱火でにんにくを炒め、香りが立ってきたら、一度取り出しておく。そこに1の鶏肉を皮面を下にして焼きつける。焼き色がついたら、ひっくり返して焼き、空いているスペースにしめじを入れて炒める。
  3. 鶏肉の裏面にもうっすらと焼き色がついたら、酒をふりかけて、フタをして、3分ほど蒸し焼きにする。
  4. 3ににんにくを戻し、生クリーム、コチュジャンを溶かして入れて、水面がふつふつと温まったら、器に盛り付けて、好みの量の刻んだパセリを散らす。
鶏肉ときのこのコチュジャンクリーム煮の作り方
アボカドのコチュジャンナムル風

アボカドの
コチュジャンナムル風

▼材料(2人分)

アボカド・・・1個(約130g)

大葉・・・6枚

〈A〉

コチュジャン、醤油、ごま油・・・各小さじ1

いりごま(白)・・・小さじ1/2

アボカドのコチュジャンナムル風の材料
▼作り方
  1. アボカドは1cm角に切る。大葉は千切りにする。
  2. ボウルにアボカドと〈A〉の調味料を入れて和える。千切りにした大葉を添える。
アボカドのコチュジャンナムル風の作り方

PROFILE

エダ ジュン

料理研究家・管理栄養士。1984年、東京生まれ。管理栄養士取得後、株式会社スマイルズ入社。SoupStockTokyoの本部業務に携わり、2013年に料理研究家として独立。「パクチーボーイ」の名義でも活動中。お手軽アジアごはんや、パクチーを使ったレシピが得意。著書に「フライパンひとつで!のっけ弁当」(学研プラス)、「アジア料理をカレーにしたら?」(文化出版局)、「野菜たっぷり具だくさんの主役スープ150」(誠文堂新光社)など。
●料理研究家としてのモットー
「料理にやっちゃいけないことはない」という気持ちを大切に、固定概念に捉われず、ワクワクする料理・レシピをお届けすることを心がけています。