はじめての発酵食レシピ Vol.04 「いいちこ」やいちごで香りが楽しい春のおつまみ

think KOJI 麹文化と発酵

はじめての発酵食レシピ Vol.04「いいちこ」やいちごで
香りが楽しい春のおつまみ

料理家井澤 由美子

「はじめての発酵食レシピ」では、発酵を日々の食卓から身近に感じていただくために、誰でも簡単にできるレシピをご紹介しています。第4回は料理家で調理師・国際中医薬膳師・国際中医師の資格を持つ井澤由美子さんに、本格麦焼酎「いいちこ」や春いちごを使ったおかず2品を教えていただきます。春にぴったりのレシピをぜひお試しください。

文・写真:井澤由美子

発酵とともに、料理の道へ

子どもの頃から、私は発酵食と育ってきました。4人姉妹で、祖父母の家の隣に住んでいたので、学校から帰ってくると祖父母のところへ行って。そこには、おばあちゃんの糠(ぬか)漬けがありました。糠に手を突っ込んで、きゅうりを探す楽しさ。乳酸菌の良い香り。洗って口にしたときの絶妙な口当たり、味わいの複雑さ。パリパリのきゅうりを食べると、なんだか体の底から元気が湧いてきました。

そしてやはり、祖母の手作りの味噌や削りたてのかつおで作られるお味噌汁。美味しいだけでなく、元気になれる。そのパワーの源である「発酵」を、子どもの頃から五感や体で感じ取ってきたのです。私の和食好きの原点はそこにあると思います。

かつお節

やがて大人になって、飲食店を経営し、料理家の道へと踏み出しましたが「発酵食」や「塩あそび*1」は、今も得意とするところです。

そもそも、私が料理家としてたくさんの人に認知されることになったきっかけは「レモン塩」。レモン塩は、レモンを塩漬けにしたものです。最初は「きょうの料理」(NHK)に出演されている後藤繁榮(ごとう・しげよし)アナウンサーが、私のキッチンを取材に来られたとき、もはや年季が入って発酵食化していたガラス瓶の中のレモン塩を見て、「これはなんですか」とおっしゃったのがきっかけでした。

それをレモンクリームのパスタにしてお出ししたところ「おいしい!」と、大好評。それをまた同局の「あさイチ」でご紹介したところ、大反響となったのでした。今も毎月、旬の野菜を発酵させて楽しんでいます。別の回で、野菜の発酵食についても詳しくご紹介したいと思います。*1 塩あそび:塩で素材を漬けることで、違う味わいや栄養を引き出すこと

麦焼酎の香りを料理に生かして

料理で麹を使うと、素材が柔らかくなったり、保存がきくようになるという面白さがあります。日本酒の代わりにいいちこのような麦焼酎を使うと、華やかな香りが立つのが気に入っています。焼酎で肉を煮込むと柔らかくなるのはみなさんご存知で、すでにやっておられるかもしれませんが、酒蒸しを焼酎蒸しにしたらどうかな、と今回は考えました。

えのきと梅干しとかつお、という絶対に合う組み合わせを、焼酎で蒸す。やってみると、なんともいえない良い香り。これに慣れると、焼酎でなければとさえ思えてきます。それに、焼酎を飲むときの肴にはぴったりですよね。

きのこ、梅干しのクエン酸には疲労回復効果があり、削りかつおはアミノ酸も豊富。気温が上がり、疲れやすい春先にはぴったりの滋養食にもなります。ちなみに私は、いいちこの中でも「いいちこフラスコボトル」が大好き。季節のお茶を合わせて前割り*2し、寝酒に飲むこともあります。飲み終わったら、空き瓶に手製のシロップなどを保存して楽しんでいます。キッチンがカラフルになって素敵。*2 前割り:焼酎の飲み方のひとつ。焼酎と水を混ぜ合わせた後、一晩から数日寝かせる。焼酎と水がなじんで、通常の水割りやお湯割りより飲みやすいという焼酎ファンも多い。

もう1品は、春いちごと白味噌のぬたです。味噌の中でも麹がたっぷりの白味噌は美肌効果が高いです。そこへビタミンや鉄分が豊富ないちご、緑黄色野菜のねぎのトリプル使いで最強に。中医学の世界では、春いちごの甘やかな香りと甘酸っぱさは気の巡りを良くして、肝機能を上げ、ストレスを和らげてくれると言われています。

食感よくゆでたねぎに、甘酸っぱいニュアンスをもついちごと、まったりとした白味噌を合わせた酢味噌をかける。春の花の香りが漂う縁側などで、春の空気と共に楽しむようなイメージです。焼酎の飲み方ですが、夕暮れどきは水割りで、日が暮れたらお湯割りでいかがでしょうか。

RECIPE

えのきと梅おかかのいいちこ煮浸し

えのきと梅おかかのいいちこ煮浸し

▼材料(作りやすい分量)
いいちこ
100cc
梅干し
1~2個
かつお節
軽くひとつかみ
えのき
2袋(400g)
えのきと梅おかかのいいちこ煮浸しの材料
▼作り方
  1. えのきはオガクズがついている部分だけを落とし、3等分に切る。
  2. 鍋にいいちこ、種を取った梅干し、鰹節を入れ、ひと煮立ちしたら1を入れさっと煮る。
鍋にいいちこ、種を取った梅干し、鰹節を入れる
▼おすすめポイント

思い立ったらすぐにできるさっぱりとしたお浸しは、春のおつまみにぴったり。えのきに含まれるビタミンB群と梅干しのクエン酸で疲労を回復します。いいちこの香りから私はほんのりした桃を思い起こします。この香りを凝縮した焼酎の余韻を楽しんでください。冷たくても美味しいので、多めに作って保存し、晩酌のアテにも。私はすこし汁だくで作って、蕎麦に合わせるのがお気に入りです。

春いちごと白味噌のぬた

春いちごと白味噌のぬた

▼材料/2人分
白味噌
小さじ2
いちご
2~3粒
小さじ1~2
あさつき(細ねぎ)
80g
春いちごと白味噌のぬたの材料
▼作り方
  1. すり鉢に白味噌、いちご、酢を入れすり混ぜる(スプーンでつぶしたり、ポリ袋に入れ袋の上から押し混ぜてもOK)。
  2. あさつきをさっと熱湯で塩(分量外)ゆでし、水気を絞って4センチの長さに切る。
  3. 1を2にかける。
すり鉢に白味噌、いちご、酢を入れすり混ぜる
▼おすすめポイント

白味噌やいちごの甘さによって蜂蜜を少々加えたり、好みで辛子を加えても美味しいです。緑黄色野菜は粘膜を保護し、ウイルスなどの侵入を防ぎます。ゆでた春野菜には何でもよく合うので、色鮮やかな酢味噌は、おもてなしにもおすすめです。

井澤由美子(いざわ・ゆみこ)

PROFILE

井澤由美子(いざわ・ゆみこ)

料理家。調理師・国際中医薬膳師・国際中医師*3。海外雑誌「マーサ・スチュワート」の日本版編集部、広告制作部より独立。体を健やかに保つ発酵食や、薬膳、保存食作りをライフワークとし、季節の素材で美味しく健康的なレシピを提案している。レモン塩や乳酸キャベツのブームの火付け役としても知られ、手作りの良さを広めている。NHK「きょうの料理」、「あさイチ」などの料理番組のほか、商品開発や雑誌、講演など活動は多岐にわたる。著書に「『ストウブ』でもてなしごはん&毎日おかず」、「痩せる!きれいになる!病気にならない!乳酸キャベツ健康レシピ」、「体がよろこぶお漬け物:乳酸発酵の力で、体の中から美しく」など多数。*3 国際中医薬膳師・国際中医師:「国際中医薬膳師」は中国政府が直轄する中国中医薬研究促進会が、能力認定試験を行い、認定証書の発行をしている資格。「国際中医師」は中国の伝統医学、中医学を中国国内だけではなく世界に普及させるために設けられた資格。中国政府の外郭団体である世界中医薬学会連合会が主催する国際中医師試験に合格する必要がある。