by SANWA SHURUI

by SANWA SHURUI 三和酒類の酒造り

「1ミリの品質差」に
こだわっています。
良い酒造りのために。

三和酒類 常務取締役 和田正太郎

「koji note」は、三和酒類のことを、大分の歴史や文化、自然などとともに、もっと深く広く知っていただきたい。そんな思いから立ち上げたページです。この「by SANWA SHURUI」のコーナーでは、三和酒類からのメッセージ、活動のお知らせなどをお伝えします。初回は宇佐市で生まれ育った、和田正太郎常務取締役が、三和酒類の酒造りの根本的な考え方について語ります。
写真:三井公一

「麹プロジェクト」を起点に、価値ある製品を生み出したい

――三和酒類ってどんな会社なのでしょう?

“チャレンジ”を大事にしている会社です。1958年に大分県宇佐市にあった3つの日本酒の蔵元が集まり、設立したのがこの三和酒類です。社名に込められているように、いろいろな酒類の製造にチャレンジしています。今は「いいちこ」をはじめとする本格麦焼酎が売り上げの中心ですが、それ以外にもぶどう作りから手掛けている安心院(あじむ)葡萄酒工房で造る「安心院ワイン」や、創業期からの日本酒「和香牡丹(わかぼたん)」、大麦発酵液を利用した健康食品づくり、カクテルベースの和のスピリッツ「WAPIRITS TUMUGI(ワピリッツ ツムギ)」など、幅広いジャンルで取り組んでいます。

――「酒類」全般ですね。幅が広いですね。

はい。そこで5年前から全社をあげて、私たちは何をする会社なのか、何を生業(なりわい)とするのか、仕事の基本をあらためて確認していく作業を進め、麹プロジェクトを立ち上げました。

1つ目に「麹・麹文化の酒を識る、愉しむこと」。2つ目に、「発酵技術と創意工夫で新しい価値を創造すること」。この2つが当社の事業活動の基本であり、それに基づいて新しい商品づくりへのチャレンジが進められているのです。

元々私たちは、日本酒の蔵元が焼酎を造り始めたわけですし、それと同じように、この「麹プロジェクト」を起点として新しい価値のある製品を生み出していきたいと考えます。

酒造りの原点「CCRN」

さらに言えば、私たちは「麹プロジェクト」に基づいた酒造りの枠組みを持っています。それは、「CCRN」という言葉で表現しています。

三和酒類 和田正太郎 常務取締役 photo 01
麹プロジェクト CCRN

私たち三和酒類の酒造りの原点はこのCCRNにあると考えています。酒を醸(かも)す技術とそれを取り巻く食や酒などの文化。焼酎の大麦、日本酒の米、ワインのぶどうといった原料を育む大分の清らかな水、きれいな空気という地域性と自然の恵みを活かすことで、活発に酒造りに取り組めるのです。

――三和酒類ならではの酒造りに対するこだわりは何でしょうか。

少しでも良いお酒を造りたい。それはものづくりに携わる世界の人たちに共通することかもしれませんが、技術の革新、より深く麹や酵母のことを理解して、どうすればもっと美味しいお酒を造れるか研究を続けて、酒造りの技術を歴史と共に育んできました。

当社の重要な言葉として「1ミリの品質差」というものがあります。それはお酒造りのところでも、瓶詰めのところでも、あらゆる工程の中で、少しでも良いものを造っていきたいという言葉です。

実際の製造現場では新しい酵母や麹といった微生物について研究を重ね、これに加えて蒸留技術の研究も進めています。少しでも美味しいお酒を造りたいと日々取り組んでいます。

焼酎はブレンドするのですが、そのブレンド技術と、40年間焼酎を造り続けてきた結果としての豊富な原酒のストックが三和酒類の強みの1つになっています。

時代に合わせて「いいちこ」の味は変化している

――三和酒類のことをチームプレーの会社だと表現する人がいます。どういうことでしょうか。

三和酒類は酒造りにおいて、1人の杜氏、1人のブレンダーが最終的に味を決めていくというスタイルを取りません。昔は三和酒類でも杜氏制で酒造りをしていた時代がありました。しかし今の三和酒類の酒造りはチームとしての取り組みに変えています。主力製品の「いいちこ」も、日本酒「和香牡丹」も、「安心院ワイン」も同様です。

1人のブレンダー、1人の杜氏に依存するのではなく、複数の「味覚パネリスト」と呼ばれる社員が毎日、味をチェックしています。さらに月に1回、原酒の出来を徹底的にチェックして、味にブレがないかを確認しているのです。たとえ数値が合っていたとしても、最後のところは人間の感覚を信じて判断します。

味覚パネリストの中で、ある程度の幅を持って、「いいちこ」らしさというものを共有しているのです。実はその幅の中で日々、少しでも良いお酒を造ろうとしています。製造現場も研究所も1ミリの品質差の向上を目指して、麹や酵母の研究や工夫の手を休めることはありません。

――自分たちの感覚を信じてより良い酒造りのために手を加えているのですね。

実は年月を経て少しずつ味が変わっているんです。1年前、5年前、10年前の「いいちこ」と、現在の製品を飲み比べてみれば間違いなく味は変わっています。これは1ミリの品質差を追求し続けてきた結果でもあります。時代に合わせて「いいちこ」の味は変化しているということです。逆に言えば、常に良いものを求めて変化していかないと、時代に合わなくなってしまうものなんです。

地域をあげて取り組んでいる酒造り

少しでも良いものを作りたい。それは、原料についても同様です。例えば、20年前に発売開始した「西の星」という焼酎があります。これは当時、大分県と共同で研究開発した二条大麦「ニシノホシ」を使って製造してきた本格麦焼酎です。

開発当初は参加する栽培農家さんは数軒しかいませんでしたが、この20年間で延べ140軒以上に増え、収量も1,000トンから2021年には4,400トンに増えています。焼酎造りには、醸造適性、精麦適性が求められるのですが、こうしたメーカーとしてのリクエストをする際に、農家さんと直接コミュニケーションを取れるような関係を構築できるようになりました。

地域をあげて酒造りに取り組む。私たちの酒造りの枠組み「CCRN」のRすなわち地域性のありがたさが商品に結びついている好例だと思います。

こうして創業時からのチャレンジ精神と日々1ミリの品質差の追求をたゆまず続けながら、これからも美味しい酒造りに励んでいきます。どうぞ、私たちの大分からお送りする自信作の数々を、美味しいお食事と共にお楽しみください。

三和酒類 和田正太郎 常務取締役 photo 02
三和酒類 和田正太郎 常務取締役

PROFILE

和田 正太郎(わだ・しょうたろう)
三和酒類株式会社 
常務取締役

1983年、大分県宇佐市生まれ。2006年、東京農業大学応用生物科学部醸造科学科卒業。同年、三和酒類株式会社に入社し、焼酎製造部署に配属。09年4月~10年7月、独立行政法人酒類総合研究所に出向し、主に麹菌の安全性を研究。14年5月から2年間、大分銀行香港駐在員事務所に出向中に香港中文大学新雅中国語文研修所で中国語を学ぶ。16年8月に三和酒類に復帰。17年10月取締役就任。食品事業部、環境技術部、製造部、製品物流部などを担当。その後、取締役SCM本部長を歴任し、現在、常務取締役を務める。